3月6日、衆院議員アヤナ・プレスリー氏が選挙権年齢を現行の18歳から16歳まで引き下げる法案改正を提案し、アメリカ全土で物議を醸す事となった。はたして、16歳には選挙権を与えてもいいのだろうか?下院議長ナンシー・ペロシはこの改正案を支持すると発言している。しかし、支持にまわる政治家ばかりというわけではないようだ。この問題についての自分の立場をより明確なものにする為、私は私用のインスタグラム上で簡潔なアンケートを実地した。「16歳に選挙権を与えるべきか?」回答者の内、79%が「いいえ」、21%が「はい」と答えた。この投票結果は、合衆国全体の世論の傾向と相似している。全国で81%が16歳選挙権に反対、というデータもある。
今現在、多くの国が選挙権年齢に18歳を採択している。ワールドアトラスによれば、237ヶ国のうち200ヶ国以上で18歳が選挙権取得のラインであり、他14カ国では更に高い年齢に定めている。世界的に、選挙権年齢はキューバの16歳(最少)からアラブ首長国連邦の25歳(最高)まである。スコットランドは選挙権年齢を引き下げた国の一例だ。2014年のスコットランド独立住民投票にあたる臨時的引き下げは成功とされ、続く2015年スコットランド議会が正式な年齢の改正法案を可決している。
はっきり言って私は選挙権年齢引き下げに反対である。数週間に渡りこの問題の利害得失をあれこれ考えたが、自らの直感を信じることにする。何も古い制度の見直しをする風潮自体に反対している訳ではないが、単純に16歳は若すぎると思うのだ。
一般的にいって16歳とは、選挙に参加できるほど成熟しているだろうか?十代の若者と聞いて真先に思い浮かぶのは、メディアに現れる無謀な行動の数々である。インターネット上の人気を集める為、タイドポッズを飲み込み、地肌に塩と氷を塗り、大量のシナモンを吸い込んでいる。この馬鹿らしい行為の数々は、もちろん危険だと認知されているのだ。更には、脳科学の観点からいっても16歳は成熟しきっているとは言えないそうである。脳は一般的に25歳まで発育を続けるそうだ。前頭葉で物事の判断を下す大人と違い、青年期には主に偏桃体が意思決定に使われる。扁桃体は脳の情動反応を司り、必ずしも理路整然した意見をうむものでない。もちろん個人差はあろうが、やはり大半にとって「早すぎる」のである。
そもそも16歳が真摯に選挙と向き合うことができるだろうか?正直、誰が高校時代に生徒会選挙の事を真面目に考えただろう。自分に直接の関係ない事などおかまいなしである。衆院議員選や大統領選と比べてみてほしい。例えば、結果によって税率・銃規制法改正・健康保険などの国民へ影響の出る選挙だとしよう。若い有権者達は、自らに直接影響がある問題に対しては気にかけて学びもするだろうが、それ以外の問題には全くの無関心ではないだろうか。
一方で、擁護論も決して否定はできない。例えば、地方選挙に16歳を有権者として迎えたとする。この選挙結果に関して、最も密接に影響が出るのがこの若い世代である可能性は十分にありえる。地方選挙での16歳選挙権が可能なら、これが良き習慣となって投票率に貢献するかもしれない。しかし、これまで18歳から29歳の有権者は変わらず低い投票率を記録してきた背景もある。アメリカ合衆国国勢調査局によれば、2016年の大統領選でのこの世代の投票率は46.1%にとどまった。
加えて、擁護論側の理由としては兵役制度との矛盾もある。17歳以上は両親の承諾付きで米国軍隊に入隊が可能なのだ。国防に従事する若者に自らの大統領を決める選挙権がないというのもおかしな話である。これは、しばしば青年兵士と飲酒年齢の矛盾と同列に議論される。しかし結局のところ、16歳が選挙権に若すぎる事には変わりない。選挙権年齢は変えるべきでない。
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